仁叟寺は室町時代大永2年(1522年)に創建され、境内には貴重な数多くの文化財を護持している。当寺に伝わる500年の歴史を有する寺宝として本堂、本尊釈迦如来、天宮の古井戸そして初代住職(開山)お手植のカヤがある。このカヤは実が左巻きという珍しいもので、天宮様の宿り木といわれ、火防のご神木として知られている。明治22年の地租改正による土地測量の時、多胡村の測量基準点となった。
落雷により樹勢が衰え、平成4年に樹木医が腐朽部除去や土壌改良などの樹勢回復工事を行った折、空洞の中に白い羽毛のミミズクが生息しており、白蛇もいたという。今では枝が徐々に伸びてようやく実がなるほどにまでに回復した。
カヤは常緑高木で高さ25m、直径2mほどになる。樹皮は灰白色、縦に薄く割れ、繊維状に細かく剥がれ落ちる。葉は線形、先は鋭くとがり触れれば痛い。種子は開花した翌年の9月に熟す。緑色の仮種皮が子を包み込み、種子から取れる油は食用・頭髪用になる。雌雄異株。
〇モクの木 境内にはほかに高崎市天然記念物の「モクの木」と称されるムクノキがある。樹齢350年、双幹であるが幹基部には大きな空洞があり、空洞内には不定根が発生して下垂し地中に埋没している。
〇五輪ザクラ
境内北側には「五輪桜」といわれる桜があり毎年3月下旬に濃い紅色の花が咲く。品種はコヒガンザクラである。
国道254号線を西進、吉井町市街地「吉井」信号を左折、400m先、左に入る。